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【開業支援コラム】Vol.11【設計・施工】設計する際に詰めておくポイント 法令順守編

歯科医院を開業して院長になるということは、医院の「開設者」「管理者」になるということです。勤務医であれば患者さんの治療に集中すれば良いのですが、医院経営者になるということは様々な法律を理解し、それに従う必要があります。つまり、法令に則った医院を作り、開業後も法令を遵守して診療や運営をおこなっていかなければなりません。

例えば、基本的なものをあげるだけでも下記のような法律が医院経営をおこなう上で関わってきます。

「不動産登記法」「都市計画法」「消防法」「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(通称:バリアフリー新法)」「屋外広告物法」「医療法医療広告規制」「歯科医師法」「歯科衛生士法」「労働基準法」 など

上記の法律を大きく2つに分類すると「医院を建てる(つくる)際に守る法律」と「医院を開業してから守る法律」に分けることができます。今回は医院を設計する際に関わってくる法律がテーマとなっておりますので、「医院を建てる(つくる)際に守る法律」について解説させていただきたいと思います。

不動産登記法

歯科医院を開業するためには物件=土地や建物などの不動産を確保しなければなりません。不動産というものは「登記」をすることで権利関係が明確になります。そして、それらの権利関係を記す制度を「不動産登記制度」といい、制度について定められた法律が「不動産登記法」になります。不動産の権利関係を記しているものを「登記事項証明書」と呼び、法務局や出張所などの「窓口申請」、「オンライン申請」、「郵送申請」などで取り寄せることができます。この書類は医院を開業する際に保健所への提出が必要となりますが、登記されている内容に問題があると、対象となる物件で開業できなくなる場合もあり得ます。

不動産の仲介契約を結んでいる場合には仲介者に重要説明義務があるので、契約時によく確認しましょう。(宅地建物取引業法 第35条・第47条1項)そして登記状況に問題が無いことが確認できてから賃貸借契約を結びましょう。

都市計画法

開業を予定している場所(土地)ですが、各市区町村によって使い方が定めている場合があります。市区町村が定めた目的以外の建物を建てる場合、都市計画法で県知事の許可が必要となりますので、事前に行政の担当窓口に問い合わせるなどきちんと調べた上で物件選定をおこなう必要があります。また都市計画次第では、開業物件の周りの人口構成や人の流れが変わるなど十分にあり得ますので、先を見越したうえで物件選定をおこないましょう。

消防法

消防法は、簡単に説明すると「火災を予防しましょう」「もし発生した場合も最小限に被害を食い止められるようにしましょう」という趣旨の法律です。つまり、人の命や財産を守ることが最大の目的であり、人が集まったり出入りする「店舗」「ビル」「事業所」などは、消防法により定められた安全管理をおこなう必要があります。言うまでもありませんが、歯科医院のような医療機関においてもこの法律は適用されます。

具体的には、しかるべき消防設備の準備、自動火災報知機の設置などをおこない、所轄の消防署に行って消防長等の同意(消防同意)を得る必要があります。また、開業後にも定期的な機器点検や総合点検が義務付けられています。

これらの法律をきちんと理解せずに、医院の設計・施工を進めてしまうと開業前の検査時に消防同意を得られず、追加工事が必要になったり、内装の大幅な変更を迫られる場合もあります。

このような事態になってしまうと、開業日が予定より遅れたり、開業費用が余計にかかってしまうなどの影響がでてきます。きちんと調べたり専門家にアドバイスを求めるなどしながら準備を進めることが重要です。

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律

この法律は、通称「バリアフリー新法」とも呼ばれ、高齢者や障害者が安心して日常生活を送れるよう、建築物や交通施設など建設する際にはバリアフリーの視点を入れて整備をすすめましょうというものです。この法律で定められた項目を満たすことができれば「バリアフリーの認定」を受けることができますが、審査基準が厳しいためなかなか合格することはできないのが現状です。

しかし、これからの社会は高齢化がますます進み、弱者にも優しい設計やデザインが求められます。設計をおこなう際にはぜひ患者さん目線を大切にし、医院作りをおこなっていただければと思います。

屋外広告物法・医療広告規制

開業後に地域の患者さんに来院してもらうためには、看板や外装などで医院の存在を認知してもらう必要があります。目立つ看板を設置したり派手な外装を施せば、それだけ認知はされますが、自治体によっては屋外の景観を維持するために「屋外広告物法」が設けられており規制がかかっている場合があります。設計・施工をおこなう前に、担当部署に確認しておきましょう。

また、医療法第6条の5で定められている通り、医療機関の広告は「医療広告規制」により表現や使ってよい文言に規制がかかっています。医院の看板や外装に記載できる内容も限られているので、ルールで定められた内容をしっかり守り広告をおこなうようにしましょう。

医療法

いうまでもありませんが、歯科診療所は医療機関のひとつなので「医療法」による規制を受けています。医療法を実際に調べてみるとかなり細かい部分までルールが定められていますが、医院の構造に関しても触れられている部分があります。歯科医院においては下記の3つが該当する部分かと思いますので、よくご確認いただいた上で設計やデザインをおこなってください。

<歯科治療室>
・他の室と明確に区画されていること。歯科治療室が、他の室への通路となるような構造は、不適当である。
・室の標準面積
歯科治療室1セット当たり6.3平方メートル以上(2セット以上は1セットにつき5.4平方メートル以上)

<エックス線装置及び診療室>
・エックス線診療室は放射線防護がなされ、かつ、別に操作する場所を設けること。
・エックス線診療室である旨を示す標識をすること。
・エックス線診療室には「管理区域」の標識を付し、人がみだりに立ち入らない措置を講ずること。
・エックス線診療室の出入口に、エックス線装置使用の旨の表示ができること。
・放射線障害の防止に必要な注意事項(患者向け・放射線診療従事者向け)を目に付きやすい場所に掲示すること。
・移動式のポータブル装置であっても、診察室などで大半を使用する場合、エックス線診療室が必要である。

<エックス線装置及び診療室>
・防じん設備その他必要な設備(防火設備、消火用機械・器具等)を設けること。
・室の標準面積
歯科技工室6.6平方メートル以上
・その他、歯科技工士法施行規則第13条の2の構造設備基準に準じていること。