COLUMN 歯科業界コラム

歯科医院経営の成功法則|開業から10年で分院展開を実現した「臨床×経営」両立術

歯科医院経営の成功法則|開業から10年で分院展開を実現した「臨床×経営」両立術

多くの歯科医師が抱える経営の悩み

「開業したものの、思うように患者さんが来ない…」「臨床技術は自信があるのに、経営面で苦戦している」このような悩みを抱える歯科医師は決して少なくありません。実際、全国約68,000軒の歯科医院のうち、医療法人化できているのはわずか25%程度という現実があります。
しかし、2015年に開業してわずか10年で医療法人化、分院展開、さらにはラボ開設まで実現した歯科医師がいます。医療法人エスティーアドバンスの理事長・土屋慎太郎先生です。なぜ土屋先生は短期間でこれほどの成功を収めることができたのでしょうか。
今回は、土屋先生の実体験をもとに、歯科医院経営において「臨床」と「経営」を両立させる具体的な方法論をお伝えします。これから開業を考える先生方、すでに開業しているが経営に悩む先生方にとって、実践的なヒントが満載の内容となっています。

1. 開業初期の戦略:小さく始めて着実に成長する経営手法

歯科医院の開業を成功させるには、「小さく始めて段階的に拡大する」戦略が最も効果的です。開業時のリスクを最小限に抑えながら、市場の反応を見極めることができるからです。土屋先生が「とにかく失敗したくない」という思いから、ユニット2台でスタートしたように、初期投資を抑えることで資金繰りの安定化を図ることができます。また、小規模から始めることで、スタッフとの関係性を築きやすく、院内の運営システムを確立しやすいというメリットもあります。
土屋先生は開業時にユニット2台からスタートし、1年未満でユニット1台を増設しました。これは需要を確認してから拡張するという慎重なアプローチでした。その後も段階的に規模拡大を行い、安定した経営基盤を構築して医療法人化を実現しています。この手法により、土屋先生は開業リスクを最小化しながら、患者ニーズに応じた適切な規模拡大を実現しました。相見積もりを活用して材料費を徹底的に比較検討するなど、コスト管理も細かく行っていました。
歯科医院開業において、最初から大きな投資をするのではなく、小さく始めて市場の反応を見ながら段階的に成長していく戦略こそが、長期的な成功につながる確実な方法なのです。

2. 臨床スキルの専門性強化:インストラクターレベルまで極める意義

歯科医院経営の成功には、特定分野での圧倒的な臨床スキルの習得が不可欠です。専門性の高い臨床スキルは、単なる治療技術を超えて、経営面での多大なメリットをもたらすからです。土屋先生がインプラントと矯正の両分野でインストラクターレベルまで到達したように、高度な専門性は患者からの信頼獲得、自費診療の増加、そして同業者からの評価向上につながります。また、インストラクター活動により全国の歯科医師とのネットワークが構築され、新たなビジネスチャンスも生まれます。
土屋先生の専門性向上プロセスは、矯正分野において自分自身を最初の患者として治療体験することから始まりました。アライナー矯正から開始し、段階的に難症例まで対応できるようになり、2016年からインストラクター活動を開始しています。最終的にはアメリカ本部の公認インストラクターにまで到達しました。
この結果、土屋先生は全国での講演活動を毎週のように各地で開催し、メーカーとの強固な関係を構築しました。症例数も大幅に増加し、自費診療比率の向上も実現しています。講演のたびにスライドをバージョンアップし、常に最新の知識と技術を提供する姿勢も、多くの歯科医師から評価される要因となりました。
臨床スキルを単なる治療技術として捉えるのではなく、経営戦略の核心として位置づけ、インストラクターレベルまで極めることが、歯科医院経営の成功を決定づける重要な要素となります。

3. 垂直統合戦略:ラボ開設による品質管理と収益性向上

歯科医院経営において、技工ラボの内製化は品質向上と収益性確保の両面で大きなメリットをもたらします。外部技工所に依存している限り、品質管理の完全なコントロールは困難だからです。土屋先生がコロナ禍で困窮した技工士を雇用してラボを開設したように、内製化により「生産者が誰か分かる」品質管理システムを構築できます。また、技工士が実際の治療現場に立ち会うことで、患者の状況を直接理解し、より適切な技工物を製作することが可能になります。
土屋先生のラボ運営システムでは、全ての技工物を院長が最終チェックし、難症例については院長が直接デザイン指導を行います。技工士は手術に立ち会い、患者の状況を直接把握する体制を整えています。適合不良の場合は即座に再製作を行い、患者からは技工士に対しても直接感謝の声が寄せられるようになりました。
この取り組みにより、品質の大幅向上として返品・再製作率の低下を実現し、患者満足度も向上しました。技工コストの最適化も図れ、真のチーム医療を実現することができています。毎朝、技工士と挨拶を交わし、納品物をチェックする習慣により、常に高品質な技工物を患者に提供できる体制を維持しています。
技工ラボの内製化は、単なるコスト削減手段ではなく、品質管理の完全なコントロールとチーム医療の実現による患者満足度向上を通じて、歯科医院経営の競争優位性を確立する重要な戦略なのです。

4. 人材マネジメント:スタッフの幸せを軸とした組織運営

歯科医院経営の成功は、スタッフの幸せと将来ビジョンの共有にかかっています。優秀なスタッフの定着と成長なくして、持続的な歯科医院経営は不可能だからです。土屋先生が「君たちを絶対幸せにする」と宣言し、5年後のクリニックの姿を具体的に示すように、スタッフが自分の将来を描けることが重要です。単なる労働力として扱うのではなく、共にクリニックを発展させるパートナーとして接することで、スタッフのモチベーション向上と組織全体の成長が実現します。
土屋先生は明確な将来ビジョンの共有として、5年後のクリニック像を具体的に提示しています。従来の家業的経営から脱却し、「企業」としての意識改革を行いました。男性技工士や常勤男性医師など多様な人材を積極的に採用し、アウトソーシングの活用によってスタッフ業務の効率化も図っています。将来的には保育園設立も計画しており、女性スタッフが働きやすい環境整備にも力を入れています。
これらの取り組みの結果、スタッフの離職率が低下し、院内の活性化が実現しました。チーム医療の質も向上し、組織全体の成長を達成しています。土屋先生自身が「自分が一番幸せにならないと人を幸せにできない」という考えのもと、経営者として自らの成長と幸せを追求しながら、スタッフの成長をサポートする体制を整えています。
歯科医院を単なる個人事業から「企業」として発展させるには、スタッフの幸せと成長を第一に考えた人材マネジメントが不可欠であり、これこそが持続的成長の原動力となります。

歯科医院経営の成功法則|開業から10年で分院展開を実現した「臨床×経営」両立術

5. 経営と臨床の両立:アウトソーシング活用による時間創出

歯科医院経営の成功には、経営業務のアウトソーシングによる臨床時間の確保が重要です。歯科医師の最大の価値は臨床技術にあり、事務作業に時間を取られることは機会損失だからです。土屋先生が給与計算の自動化やメディカルネットで行っている事務代行サービスの活用を行ったように、ルーティンワークをアウトソーシングすることで、歯科医師は本来の価値創造活動である臨床と戦略的経営判断に集中できます。これにより、「プレーヤー」と「マネージャー」両方の役割を効果的に果たすことが可能になります。
土屋先生は給与計算の自動化システムを導入し、事務代行サービスを積極的に活用しています。経営数値の定期的なモニタリング体制を構築し、税理士との戦略的パートナーシップも重視しています。以前は手書きで給料計算を行っていた状況から、システム化により大幅な時間短縮を実現しました。
この時間創出により、高度な臨床技術の習得・維持が可能になり、全国での講演活動も継続できています。新規事業としてのラボや分院の立ち上げにも集中でき、スタッフとのコミュニケーション時間も十分に確保できるようになりました。土屋先生は「人、物、金、情報」を重視し、様々な情報を収集してその真意を自分の肌感で確かめる時間も作れています。
歯科医院経営において、歯科医師にしかできない価値創造活動に集中するためのアウトソーシング戦略は、臨床と経営の両立を実現する重要な経営手法なのです。

6.まとめ:持続的成長を実現する歯科医院経営の本質

土屋先生の成功事例から学べる歯科医院経営の本質は、「小さく始めて着実に成長する」「専門性を極める」「品質をコントロールする」「人を大切にする」「時間を戦略的に使う」という5つの要素の統合にあります。
これらは決して特別な才能や運に依存するものではなく、体系的なアプローチと継続的な努力により、どの歯科医師でも実現可能な方法論です。土屋先生が「努力は絶対裏切らない。奇跡は起きない。自分の人生は七転び八起きだ。」と語ったように、地道な積み重ねこそが成功への確実な道筋なのです。
重要なのは、これらの要素をバラバラに実践するのではなく、総合的な経営戦略として統合することです。臨床技術の向上が経営面でのメリットをもたらし、適切な経営判断が臨床環境の改善につながるという好循環を創り出すことが、持続的な歯科医院経営成功の鍵となります。

今すぐ実践できるアクションプラン

もしあなたが歯科医院の開業を検討している、または現在の経営に課題を感じているなら、まずは以下の3つのステップから始めてみてください:

1.現状分析:自院の強みと弱みを客観的に評価し、専門分野を明確にする
2.段階的成長計画:5年後のビジョンを描き、年次目標に落とし込む
3.効率化の検討:アウトソーシング可能な業務を洗い出し、時間創出を図る

成功する歯科医院経営は、一日にして成らず。しかし、正しい方向性と継続的な努力により、必ず実現可能です。あなたの歯科医院が地域で愛され、持続的に成長する医療機関となるために、株式会社メディカルネットは、経営支援や事務代行を通してサポートを行っています。是非一度ご相談ください。

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